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本書も読んでから感想文を書くまでかなりタイムラグがある。特許をテーマにした珍しい小説。神谷弁護士(現実世界では鮫島先生がモデル)の登場する下町ロケット(感想文11-59)は有名なので、特許に興味のある方はお読みになったらいいだろう。 本書の著者…
会社の後輩にお借りした安部公房さん(1924-1993)の有名な小説。安部公房さんのご高名はもちろん一般常識として存じ上げてはいるのだが、彼の作品を初めて読んだ。 私が生まれるよりだいぶ前の1962年に出版されているのだが、古さを感じさせないくらい読み…
著者は川上未映子さん。乳と卵(感想文22-23)の続編的な位置付けである本書。冬になる前には読もうと思ったけれど、冬が終わり、花粉が飛び始めた3月にようやく読了した。 前作の豊胸手術と卵子の要素に加え、本作ではAID(非配偶者間人工授精:Artificial …
久しぶりにまとまった時間ができたので、感想文を書いている。とにかく忙しすぎた。 本書の副題「天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史」にあるように、コンピュータとインターネットの歴史を描いている。続編であるⅡもあるので、いずれ読んでみ…
久しぶりに読んだ小説。タイトルに惹かれて購入した文庫本。たまに小説を読みたくなる。頭が仕事モード全開ではなく、かつ気分が落ち込みすぎていない絶妙な時だ。体が頭が、いや心が物語を欲しがっているときがある。 著者は山本文緒さん。ところが本書の解…
人生で成し遂げたいことの1つに全大陸制覇がある。制覇っていうと凄いことに思えるが、なんてことはない、すべての大陸に上陸したいのだ。 これまでユーラシア大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸、南米大陸には上陸している。残すところオーストラリア大陸と…
本書のタイトルにある「僕」とは著者のビル・ゲイツ氏である。マイクロソフトの共同創業者であり、米国の実業家、慈善家である。現在、気候変動、世界の健康・開発、教育などに関する慈善活動に専念している。ゲイツの推定純資産は1070億米ドル、現在のレー…
昨年、国立科学博物館で開催されてる特別展「毒」に行ってきた。 www.dokuten.jp 大変面白い展示で、毒のサイエンスに魅了された。これまでに読んできた本に関連する展示もあった。毒と薬の世界史(感想文09-14)にあった毒を持つ鳥「ピートフーイ」、毒ガス…
本書は2022年に読んだのだが、仕事の忙しさにかまけて感想文を書けていなかった。感想文を書けてなかったのでノミネートできなかったが、本書は2022年に読んだ本で最も面白く刺激的だった。 世界の資源地図は劇的に変化している。本書はウクライナ紛争以前に…
著者はベンジャミン・クリッツァーさん。『1989年京都府生まれ。2014年に大学院(修士)を修了後、フリーターや会社員をしながら、<中略>批評家として、倫理学・心理学・社会運動など様々なトピックについての記事をブログやWebメディアに掲載。』とのこと。…
「三連休にみずほ銀行のATMが使えないのでご迷惑をおかけしてます」みたいなCMを見た方も多いだろう。全国のATMをストップさせて、システムを統合させたのだ。そしてそのシステムは尋常ではない規模だ。まさにタイトルにあるように史上最大のITプロジェクト…
最近、歳のせいかアルコールへの耐性が弱くなってきた。それでも最も何を飲むかと聞かれたらビールになるだろう。 ビールで好きなブランドはと聞かれると、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」、キリン「一番搾り」、サッポロ「黒ラベル」の順になるだろ…
コンバージェンス(convergence)を辞書で調べると、『一点に集まること。収束すること。』とある。本書では、生物学と工学がコンバージェンス(集約)することで大きな変革を起こそうとしている「マサチューセッツ工科大学(MIT)」での先駆的な研究や最新…
元素関係の本だと名著である炭素文明論(感想文14-11)がある。この本の主役はもちろん炭素だったわけだけれど、今回感想文を書いている本は多くの元素たちみなが主役だ。 著者のティム・ジェイムズさんは、 高校で科学の教師として働くかたわら、ユーチュー…
話題となった中国のSF小説。SF小説を読むのはいつ以来だろう。調べてみると2010年に銀河ヒッチハイク・ガイド(感想文10-63)とその続編である宇宙の果てのレストラン(感想文10-75)ぶりになりそう。 10年以上もSF小説を読んでいなかったのは、SFというジャ…
※2010年10月5日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ カルト的傑作である銀河ヒッチハイク・ガイドの続編。 今回もブッ飛んでいる。だんだん世界観に慣れてきたのが恐ろしい。 アーサー、フォード、ゼイフォード、トリリアンそしてマーヴィンの旅はまだ続くみたい。 あ…
※2010年8月30日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ アスペルガー、シモ・ヘイヘ、不気味の谷―はてなブックマークで人気のWikipedia記事ベスト10を読んで、かぜん興味を持った本書。 hatenanews.com この人気のWikipedia記事ランキングで見事第8位を獲得したのが、人生…
息子が2人いて東京都23区内(といっても高層ビルもない長閑な土地柄だが)の公立小学校にお世話になり、私自身はPTAに全く関わっていなかった。 妻は長男が6年生の時に卒対(=卒業対策委員会)メンバーとなり、その年はPTAで苦労していたのを耳にしている。…
海に降る(感想文15-55)以来の深海についての本。地球最後のフロンティア(未開拓地)と言われる深海だが、タイトルに「学」がついているようにアカデミックな見地から「開拓」されることと、経済的な利潤を得るために「開発」されてしまうことの違いが、本…
40年ちょっとの人生を振り返ると、最も大きな世界の変化は、やはり新型コロナウイルス感染症の蔓延だろう。マスクを外せなくなり、行動が制限され、感染症に怯え、働き方が変わり、そしてワクチンを接種した。 現時点で、2回摂取している。どちらもファイザ…
川上未映子さんによる小説。「ちちとらん」である。「ちちとたまご」でも「にゅうとらん」でも「にゅうとたまご」でもなく、「ちちとらん」である。振り仮名がついているので間違いない。英訳するとBreast and Ovumとなろう。Milk and Eggではない。 ウィキ…
タイトルのインパクトが凄まじい。科学少年の心を震わせる「宇宙」と「恐竜」の掛け合わせなのだ。宇宙と恐竜にどういう関係があるのだろうか。恐竜は宇宙から飛来した!?のではない。宇宙規模の減少によって恐竜は絶滅したのだ。 著者はリサ・ランドールさ…
代替医療のトリック(感想文10-49)と同じ、サイモン・シンによる著作。テーマは「ザ・シンプソンズ」だ。 実は、『ザ・シンプソンズ』の脚本家チームには、数を深く愛する者が何人もいて、彼らの究極の望みは、視聴者の無意識下の頭脳に、数学というごちそ…
ユニークなタイトルと派手な黄色いカバーで気になってはいたけれど、読んでなかった一冊。会社の本好きの方からお借りして読んだ。 まず盛大に勘違いしていた。本書は少年が主人公の小説とばかり思っていた。違うのだ。国際結婚してイギリスで生活している母…
本書は『月刊アスキー』1993年5月号~1995年6月号に掲載された、日本のコンピュータ産業に深く関わった当事者25名へのインタビュー集である。本当にお聞きしたかった方はすでに亡くなっている場合もあるが、その側近の方に話を聞いている貴重な一冊だ。 出版…
会社の方にお勧めされて読んでみた本。タイトルそのまま、誰もが知っているライト兄弟についての本。まず、訳者あとがきから引用しておこう。 ライト兄弟は日本人も敬愛を寄せてやまない偉人である。アメリカ人としては、発明王エジソンと並び、偉人中の偉人…
これからの「正義」の話をしよう(感想文10-67)、それをお金で買いますか(感想文12-78)に続く、マイケル・サンデルさんによる本の感想文。 原題は、「The Tyranny of Merit」で、「メリットの横暴」である。で、メリットって何?ってことだけれど、 自分…
高村薫さんの小説。こちらも会社の方にお借りした本。「マークスの山」と「照柿」を読んだのはたぶん、私が大学生の頃で、久しぶりに高村さんの小説を読んだ。 高村薫さんらしい、暗く重い文体で、特に序盤読み進めるのはしんどい。関西が舞台はいつものこと…
会社の方にお借りした小説。1966年の作品ということで、半世紀以上も前の小説だ。40代の私も生まれてない。だが読みにくさは全くなく、いや、最後の「切支丹屋敷役人日記」はさっぱり読めず、ググったら内容を教えてくれるサイトがあったので、私のように古…
※2010年8月15日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 石見銀山は、2007年に世界遺産に登録され、日本でもその知名度が高まった。かくいうぼくも石見銀山のことはまったく知らなかった。そしてこの本を読むまで、日本で銀を産出した山くらいにしか思っていなかった。 本…