40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文09-67:経済ってそういうことだったのか会議

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※2009年10月26日のYahoo!ブログを再掲。

 

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本書は、後に経済財政政策担当大臣や金融担当大臣となる竹中平蔵と「だんご3きょうだい」の作詞とイラストでも有名なメディアクリエーターの佐藤雅彦の対談が載せられている。

本書は2002年に発売され、当時は日本経済が暗かった頃。修士課程1年生だったぼくは、ちょうど就職活動をしていた時期でもある(後に就活を止めてしまうわけだけれど)。

その頃の自分は本書と出会っていれば、また違った行動をとっていたような気がする。それくらいインパクトの強い本だと思う。

本書はなんといっても読みやすい。分かりやすい言葉と分かりやすい例で、竹中さんが経済について解説してくれる。そして、佐藤さんが素人ながらに的確な質問をし、そして竹中さんの答えをさらに噛み砕いて説明してくれたり、また新しい質問へとつなげてくれる。このバランス感覚は素晴らしい。

さらに、愛らしいイラストと竹中語録がちりばめられ、読者を飽きさせない工夫も施してある。

そして、何より本書は前向きである。経済のことをもっと知りたい、仕事したい、起業したいという気にさせてくれる。手元に置いておいて、何度も読み直したいと思わせる。

さてさて、つい最近になって郵政民営化が見直しになり、新しい社長に元大蔵次官が抜擢された。郵政民営化に尽力した竹中さんは今や前政権で格差を拡大させた大悪党のように扱われている。

さらば財務省!(感想文09-19)では、郵政民営化は是か非かの問題だったのではないく、避けられない事態だったとされている。

本書を読む限り、竹中さんはまともな人間、というかまともな経済学者であろうということが分かる。

本書の最初に、経済学の語源について説明されている。みんなでどのように生きたらみんなで幸せになる事ができるかという問いかけから経済学は始まった。経済学に対してもっている悪いイメージ、例えば、金儲けの手段であるとか、複雑で難しい数式を使っているとか、何だか冷たいとか、予測がことごとく外れるとか、案外役に立たないとかを払拭はしないけれど、誰しもが思い悩むことに端を発しているということを知れば、もっと身近なものに感じられるのではないだろうか。

一方で、今でも経済学に悪いイメージがつきまとう理由も分かる気がする。

史的システムとしての資本主義(感想文09-56)によると、資本主義とは、資本蓄積だけが目的なのだ。経済学は、確かにみんなの幸せを願っているのかもしれないけれど、そのためにみんなが金持ちになればいい(資本を蓄積すればいい)という結論に至ったような気がしてならない。

資本の蓄積は格差を生み出す。国家内でも国家間でも。多くの資本を持っている者はより多くの資本を手にし、資本の少ないものは奪われる。ある種、自然の摂理なのかもしれない。

これは経済学が悪いとか、資本主義が間違っているとかそんな話ではない。現在の世界システムを分析するとそうなりますよってことなのだ(と思う)。

さいごに本書で初めて知ったことがいくつかあった。

まずは、会社の経営と所有の分離について。会社はだれのもの?という問いについては、やっぱり株主なんだよね。みんなで出し合って会社を所有しているので、会社の経営者が無能だったら交代するしかない。その決定権は、所有者にある。日本においてややこしいのは、その株を会社が持ち合っていることだ。一体誰のものか分からなくなるし、株主総会なんてのも単なるお飾りでしかないのだ。

もう一つは、上場について。ぼくらがよく知っている企業でも上場していないところが結構多い。サントリーとか大塚製薬とか。一族経営だったりしてそもそも上場できなかったり、上場すると株主の言うことを聞かないといけなくなったりと、上場できなかったり、上場したくなかったりと様々だろう。

ふむ。上場しないってことは、経営と所有を分離しないってことだろう。何となく(経済学的には)フェアじゃない気がする。上場してるのに同族会社で持ち合っているというのも同様にフェアじゃない気がする。

企業との主な関わり方は、3つあると思う。消費者と株主と雇用者だ。

消費者にとっては、製品の値段や質が大事なのであって、上場していようがしてなかろうが、構わない。上場が製品の質に影響するというなら、話は別だけれど、きっとそんなことはないだろう。

株主だったら企業の一部を所有して、あわよくば儲けたいと思うだろう。上場していない企業にコミットできないからお手上げだ。

雇用者だったらどうだろう。上場していないと、経営陣の交代はほとんどないだろう。世襲したり、一族が牛耳っていたりするだろう。親族でない人間がそういうところで働きたいと思うだろうか。ぼくだったら嫌かな。社長の立場ならできれば上場したくないっていう気持ちは分かるけれども。

うぬぬ。

企業は上場を目指し、大企業はすべからく上場していると思っていた。何だか不思議な感じ、いや、裏切られた感じがする。

ということで、経済(学)については、もうちょっと色々勉強します。

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(感想文の感想など)

なんだかピュアさを感じる文章。若いときだから仕方ない。

上場企業の5割超 日本は「同族」大国にあるように、上場してる同族企業もたくさんある。むしろ同族経営をポジティブに評価している。同族だからこそケンカしてしまうこともまたあるのだけれど。