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感想文18-36:気骨 経営者 土光敏夫の闘い

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※2018年9月12日のYahoo!ブログを再掲。

 

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会社の成り立ちについての本を読んでみたいと思って、調べてみると行き着いた本。本書の著者は、後藤新平 日本の羅針盤となった男(感想文12-40)と同じ、中川淳一郎さん。

本書の主人公は、タイトル通り土光 敏夫(どこう としお)さん。本書を読むまで、全く存じ上げない人物だった。ウィキペディアによると

昭和時代の日本のエンジニア、実業家。 石川島重工業・石川島播磨重工業 社長、東芝 社長・会長を歴任、日本経済団体連合会4代会長に就任し、「ミスター合理化」として土光臨調でも辣腕を振るった。

とある。

土光さんは、石川島播磨重工業社長、東芝社長、経団連会長、そして行政改革を行った第二次臨時行政調査会の会長という要職を務めていった。1896年生まれで、同い年生まれは宮沢賢治フィッツジェラルド岸信介といったところ。1988年まで存命だったので、私の人生と重なる時期もある。

石川島播磨重工業株式会社は、石川島重工業と播磨造船所が1960年に合併してできた会社だ。200771日に正式な社名を「IHI」に変更している。

IHIの基本情報を載せておく。年間売上高:7,217億円(20183月期)、連結売上高:15,903億円(20183月期)、従業員数:8,256名、連結対象人員:29,706名(20183月末)である。

IHIの事業別売上高は、「航空・宇宙・防衛」、「産業システム・汎用機器」、「資源・エネルギー・環境」で、それぞれ約30%ずつを占めている。LNGタンク、エンジン、タービン、ボイラなどを造っている。民間航空エンジン用ロングシャフトが70%で世界シェアトップだ。地味な部品に思えるかもしれないが、そこにはものづくりの魂が込められている。

シャフトは回転を伝える部品であり、航空エンジンに用いるために、軽量化、耐久性、防錆、高温耐性など、様々な条件をクリアしなければならない。そのために、機械加工の精度向上、特殊表面処理など最先端の技術が注ぎ込まれている。本書では書かれていないが、こういうことを知ると仕事が面白くなる。

さて、本書で気になった箇所を挙げておこう。

何世代もの変転をくぐって、土光は行き方の軸を身につけた。それをひと言で表すなら「気骨」。自らの信念に忠実で簡単には人の意に屈しない意気である。(p.13

これが本書にある「気骨」の意味である。事業は質実剛健を目指し、自ら私生活は質素倹約を好んだ。この気質は母の登美から受け継いでいる。

敏夫は母の登美から骨太な気質を受け継いでいる。その中核を成すのが宗教だ。登美も菊次郎も「備前法華」と呼ばれる、この地域に伝わる日蓮宗の熱烈な信徒であった。(p.18

この当時の日蓮宗といえば、八紘一宇(感想文15-45)血盟団事件(感想文14-17)を思い出す。母の登美は国柱会に入会し、晩年に橘女学校を創立した。本書では石原莞爾も登場している。八紘一宇の文言は出てこないものの、晩年まで国のために身を捧げた土光敏夫の精神の土台に通じるものがある。

「国が滅びるのは悪ではなくて、国民による愚によるのです。」(p.307

行政改革に取り組んだ土光の脳裏に浮かんだ言葉であり、これはかつて母、登美が学校創設に反対する息子(つまり敏夫)に対して放った言葉である。登美はだからこそ女学校を興し、その強く影響を受けた敏夫は行政改革に尽力した。

今となっては国鉄電電公社JRNTTに民営化されて久しいが、民営化に至るまでは喧々諤々の議論があり、激しい抵抗があり、政治勢力による暗闘があった。民営化のすべてが正しいとは言わないが、国鉄電電公社という巨大組織が民営化されていなければ、今の日本はないだろう。

行政改革は今でも課題になっている。土光さんのような気骨のある人はもう現れないだろうか。

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(感想文の感想など)

経営者の話は面白い。

仕事の関係で、大企業でも中小企業でもスタートアップでも経営者とお話をする機会はたくさんあった。一様に皆さん魅力的で、信念があり、そしてカリスマ性があり、タフで元気だ。あえて言葉を選ばなければ、宗教家に近い。

信念を言葉に変えて、誰が惹かれ、人が集まる。会社は単にお金を儲けるための組織ではなく、成し得たいことがあるからお金を集める。宗教組織と共通点もあるだろう。

土光さんも気骨のバックボーンに宗教があったというのは興味深いところ。