40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文10-24:上に立つ者の心得 『貞観政要』に学ぶ

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※2010年3月26日にYahoo!ブログに掲載したものを再掲。

 

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上に立つつもりも予定もないけれど、本書を手にしたのには理由がある。それは、ぼくの上司がこの間研修に行ってて、古典を読むという講座があり、そこで「貞観政要」を読む機会があったという話を聞いて興味を持ったからだ。

その話を聞くまで、貞観政要というものの存在を知らなかった。そもそも「じょうがんせいよう」と読む。中国三千年の歴史で最も偉大な名君という誉れ高き太宗が在位した年号が貞観と言って、その時代のまさに政治の要についてまとめられた本なのだ。

本書は、貞観政要で何が書いてあるかについて、谷沢永一さんと渡部昇一さんが語り合う対談形式になっている。お二人は御年80歳を超える元気なじいちゃんだ。

同世代は竹村健一と言えば、想像しやすい。この本を読むまで、お二人のことは全く存じ上げなかった。中国のことをあえてシナと呼称しているあたりから、なかなか思想的にこだわりが強そうだなということは分かった。ちょっとググってみると、お二人とも非常に濃いキャラクターだと言うことを知った。

さて、件の貞観政要であるが、かなり昔の本なので完全版がよく分かっていなかった。この復刻に尽力したのが、原田種成による研究であった。日本人がこの偉大な中国の古典を復活させたのだ。

では、貞観政要って何だろう。

簡単に言うと、太宗(599649年)と諫臣(かんしん)たちの問答集なのだ。じゃあ、諫臣って何かというと、読んで字の如く、王様を諫める人のこと。

太宗が「こういうことをしようと思っているんだけど、どう?」って聞くと、諫臣が「いやいやそれはなりませぬ。その昔こういうことがありまして…」みたいな話らしい。らしいというのは、原著を読んでいないから。仕方ないよね。

本書で、太宗が素晴らしいとされている点は、諫臣という装置を設けたことと言える。偉くなると周りをイエスマンで固めるダメな社長がいるけれど、太宗は違うと。自分を諫めてくれるような意見を聞いただけではなく、そういうことを言う役割の人間を配置したことがスゴイと。

なるほど。確かにそうかもしれない。偉くなって調子こくと失敗するというのは、よくあること。歴史を知らなくても実体験として共感できるだろう。自分を律したり、戒めたりすることとは違って、諫めることは自己完結的にはできそうにない。だから外部装置として必要なのだけれど、なかなか実行できない。

もう一つ、人間は悪口を好む。偉いさんにあいつはどうこうとネガティブ情報を吹き込む輩は後を絶たないけれど、そういう悪口に太宗は耳を貸さない。これもなかなかできそうにない。

気がつけば、周りがイエスマンと排他的な悪口人間だけになり、グループができてしまうなんてことはよくあること。こうならないように、あらかじめ防止するシステムを設計していたこと、これがまさに貞観政要のキモであると言える。

うむうむ。考えてみれば、ぼくは中国の歴史をほとんど知らない。よし、三国無双でもやってみるか。

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(感想文の感想など)

うちの組織の上層部に諫臣いないなぁ…。