40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文16-21:トウガラシの世界史

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※2016年7月23日のYahoo!ブログを再掲

 

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子どもが生まれてからというもの、食卓にトウガラシが登場する機会はめっきりなくなった。

そのため、たまに急にエスニックな料理が食べたくなる時がある。都内に外勤に出る際には、ランチでタイ料理やベトナム料理を選択することが多い。

家でも辛いものが食べたくなった時に重宝するのは、食べるラー油と柚子胡椒だ。柚子胡椒は胡椒といっておきながら、実はトウガラシでできている。それから辛くはないけれど味に変化をもたらすトウガラシ調味料で思い出すのはかんずりだ。トウガラシ味噌の一種で、独特の風味と旨味がある。

うーん、辛いものが食べたくなってきた。

本書は、◯◯の世界史シリーズの一つ。真珠の世界史(感想文14-25)以来だな。

気になる箇所を挙げておこう。

主食のかげに隠れて目立たないトウガラシに光をあて、それが世界の食文化に果たしている役割を明らかにしようとするものである。

トウガラシは世界各地で広く料理に活用されている。象徴的な赤さと辛さは隠れて目立たないとは思えないんだけれどな。

メキシコで栽培されているトウガラシのほとんどは、すべて植物学的には同じ種のものである。つまり、極小のチレ・ペキンも、こぶし大のピーマンも、植物学的には同一種なのである。

なんと、トウガラシもピーマンも植物学的には同一種なのだ。この種名は、アンヌーム種という。ウェブで調べてもあんまり出てこない。パプリカも万願寺とうがらしもシシトウもハラペーニョも同一種なのだ。全然違うのにね。

トウガラシの実が辛いのは、動物のなかで鳥だけに選択的に食べてもらい、種子が広範囲に自然散布できるように助けてもらっているからだと考えられるのである。 

鳥類はトウガラシの辛みを感じないらしい。野生のトウガラシをむしゃむしゃ食べる。鳥は遠くに飛び、種を排出し、種が増える。よくできた仕組みだ。

木本性の香辛料作物は、コショウやサンショウ、チョウジ、ニクズクなど少なくないが、どれも品種の多様性という点ではトウガラシのそれに遠くおよばない。また、そのため、ほとんどの香辛料が熱帯などの一部地域に栽培が限定されるのに、トウガラシは熱帯だけでなく、温帯でも栽培できる。その結果、トウガラシは、現在世界で一番たくさん栽培され、また消費もされている香辛料なのである。

品種の多様性と温帯での栽培化の2つの特徴がトウガラシが世界中で愛されている要因となっている。広い意味でピーマンやパプリカも含めれば、食べない日はないほどトウガラシにお世話になっている。

パプリカは、赤色や黄色のピーマンのような大型のトウガラシだが、ハンガリーで生み出された品種にほかならない。

パプリカの原産地がハンガリーとは知らなかった。ハンガリーではパプリカを粉にして、料理に多用するそうな。ハンガリーは行ってみたい国の一つ。

トウガラシの薬としての価値を科学的に証明したのがゼゲド医科大学の教授であったアルベルト・セント=ジェルジ博士であり、その功績により、彼は1937年のノーベル生理学・医学賞を受賞していた

ウィキペディアによるとジェルジ博士(1893-1986)は、『ハンガリー出身のセーケイ人でアメリカ合衆国に移住した生理学者。ビタミンCの発見などにより、1937年度ノーベル生理学医学賞を受賞。筋肉の研究などでも知られる。』とのこと。

このビタミンCの発見に役立ったのがハンガリーの名産品であるパプリカということ。ノーベル賞を生み出したビタミンC豊富なパプリカは、ハンガリーにとっては特別な存在であることだろう。

本書は、毎日のようにお世話になっているにも関わらずたいして知らなかったトウガラシについて大変貴重な情報を与えてくれる。ただ、世界史とそこまで深く関連するかというとそうでもないんだけどね。トウガラシによって世界や歴史が動いたというよりも、トウガラシが広く世界に広まったということかな。

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(感想文の感想など)

なんだか辛いものが食べたくなってきたな。コロナで外食あんまりしてないから、長らくタイ料理食べてない。パッタイ食べたい。パッタイは辛くないけれど。