※2012年9月12日のYahoo!ブログを再掲
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完全にファンになっている佐藤賢一さんの小説。今度は日本の歴史小説。フランスの歴史小説からアメリカの近未来小説、そしてアメリカ人(ペリー)を主人公にした歴史小説を読んで本作に至る。書いた順番と一致していないけれど、佐藤さんの幅広い感心と書ける能力に脱帽している。
本書は、かの有名な天才剣士である沖田総司ではなく、その義理の兄の沖田林太郎が主人公となっている本。そして、新徴組の存在を本書を通じて初めて知った。そして庄内藩のユニークさ、力強さ、頼もしさ、恐ろしさも。
ウィキペディアにもちゃんと載っていて、
そして
新徴組は江戸の治安を守るのが目的だが、実際は江戸の町でゆすり騙りを働き、金品を奪っては酒色に溺れていた。高橋泥舟(高橋精一)と山岡鉄太郎(山岡鉄舟)は江戸城に呼び出され、不祥事の責任をとらされ、御役御免になり謹慎閉居になった。
とも記されている。え?何?本書とぜんぜん違う。どっちが正しいの?気持ち的には本書を信じたいし、そうあって欲しい。
印象的なのは、林太郎のセリフ。
俺は生きてきたんじゃねぇ。今日まで生かされてきたんだ。総司に生かされてきた。芳次郎に生かされてきた。そのことが嬉しくて、嬉しくて仕方なかった。やっぱり、幸せだったんだ。
染みる。ここだけ切り取っても何のこっちゃってなるんだけれど。
幕末の日本の改革期。新選組の会津藩と新徴組の庄内藩。か細いながらも交流があり、そして、最後まで薩長を苦しめた。
林太郎と土方歳三や西郷隆盛とのからみもちょっと面白い。史実はどうあれ、佐藤さんは日本の歴史小説も書けるということを証明した傑作です。
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