※2013年4月14日のYahoo!ブログを再掲
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歳のせいか歴史物が楽しくなってきている。
本書の主人公は、蒲生氏郷(がもう うじさと:1556-1595)。この本を読むまで全く知らない人だった。
ウィキペディアによると
戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。初め近江日野城主、次に伊勢松阪城主、最後に陸奥黒川城主。(中略)またキリシタン大名でもあり、洗礼名はレオン。
とのこと。
この時代になってちょくちょく出てきたキリシタン大名の一人で、獅子であるレオンを洗礼名として受けている。
妻は、織田信長の次女である冬姫を娶り、信頼されていた。信長の死後は、秀吉に仕えるが、その能力の高さ故に冷遇されることになる。諸説あるのだろうが、本書では、伊達政宗と対立し、最後には毒殺されてしまう。
戦乱の世にあって、血で血を洗う壮絶な戦の日々に、氏郷の心の支えとなったのはキリスト教だった。そのキリスト教は鉄砲などの戦道具の調達と密接に関連していて、それはヨーロッパの覇権状況とタイムラグはあるにせよ、リンクしていたことがよく分かる。
そして、本書を読んで痛切に感じるのはサラリーマン人生との類似とそこから滲み出る悲哀だ。出世争いと妬み嫉み、遠地への異動、上司の交代と不遇、人事評価と同僚との対立。
すっかり時代が様変わりしている現代と極めて状況が似ている。本書は単なる歴史小説ではなく、むしろ意図的に現代サラリーマンと大名の類似性を強調している。大名といえば、一国一城の主でカッコイイように思えるけれど、実態は人事権を握られた中間管理職でしかないのだ。
がむしゃらに働いた氏郷は、働き盛りの40歳で亡くなってしまう。その物悲しさが、現代の読者にウケるのだろう。
さて、最近、信長の野望Empiresというゲームをしている。ちゃんと氏郷も端キャラとして登場する。さすがに能力は高い。せめてゲームでは積極的に登用し、活用しよう。名前と能力しか特徴のないキャラにも、ちゃんと生きてきた歴史があるのだ。
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(感想文の感想など)
サラリーマンの悲哀を痛切に感じる年齢になってきた。氏郷のような生き方も悪くはないなと思える。