※2008年7月15日のYahoo!ブログを再掲
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今まで日本中でこれほどに「ルネッサーンス!」と叫ぶことはなかっただろう。
ワイングラスをカチリとならすこの風習は、合コン、歓送迎会、打ち上げなど、様々な場で活用されている。
髭男爵の功罪はさておき、ふと思ったのだ。そもそもルネサンスって何って。
Wikipediaによると「ルネサンス(仏: Renaissance 直訳すると「再生」)とは、一義的には、14世紀 ~16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す。」とある。
そういえば、世界史の授業で習ったような気がする。「古典古代の文化の復興」といわれてもよく分からない。うーん。
ということで本書を手に取ってみた。これを読めばきっとルネサンスが分かるはずだと。
本書は、(おそらく師弟の)対話方式になっている。一部を抜粋すると、
弟「ルネサンスとは何ですか。」
師「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の暴発が、後世の人々によってルネサンスと名づけられたのだ。」
弟「なぜあの時代に欲望が暴発したのですか。」
師「それまでの一千年間押さえつけられていたからだ。」
弟「誰にですか。」
師「キリスト教会が。」
という感じで、話は進んでいく。フィレンツェ、ローマ、キャンティ地方クレーヴェ、そしてヴェネツィアと舞台が変わり、ストーリーは展開していく。その時代の有名人が多数登場し、その時代を肌で感じることができる(たぶん)。
本書は、できればイタリアに行ったことのある人の方が楽しく読めると思う。ぼくはヴェネツィアにだけ行ったことがあるので、ヴェネツィア編だけはよりビビットに感じることができた。ラグーンを思い描き、サンマルコ広場を思い出す。また行きたくなってきた・・・。
残念ながら芸術にも文学にもとんと疎いので、同時代の人間に共感することはなかなか難しい(ダヴィンチは例外ね)。
何となく共感できたのは、大航海時代に大海原へ旅立っていった多数の人間たち。見たい、知りたい、わかりたいという欲望の暴発が、海に向けられるというのはしごく真っ当な感じがする。
海を渡って新しい大陸に到達するというのは、宗教を広めるとか、新しい貿易先を開拓するとか、そういう目的が出発点ではない。むしろ、見たい、知りたい、わかりたいというストレートで濃厚な欲望が、原動力になっている。
いつまでも抑圧することのできない、人間の強い欲望の暴発が、新しい時代を切り開いていった。
そして、21世紀、何が何でも笑わしたいという強い欲求のあるお笑い芸人が、「ルネッサーンス」というギャグの新境地を切り開いたのは、偶然ではないのだ。たぶん。
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(感想文の感想など)
今となっては「ルネッサーンス!」も「ひぐちカッター!」もテレビで見る機会はほぼない。
山田ルイ53世は、執筆活動で活躍している。一発屋芸人列伝(感想文18-54)を参考に。