※2008年4月3日のYahoo!ブログを再掲
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関西の人間に馴染みのある私鉄の代表格といえば阪急電車。京都、大阪、兵庫と関西の主要2府1県をまたいで、河原町、三ノ宮、芦屋、宝塚など品のある駅を結んでいる。比較的富裕層の住む町を繋いでいるので、客層も品が良い。
えんじ一色の車体はどこかレトロだけれど飽きがこない。町の景観を損ねることもないけれど自己主張もしっかりしている。そんな阪急電車は関西では人気が高い。
京都に住む母親が買って、送ってくれたので読んでみた。ハードカバーの小説って何とも贅沢気分でページを開けるたびに楽しくなる。
小説の感想文って難しい。何度も言っているけれど、書くことに困る。それを前提にして書いてみよう。
今津線に実は乗ったことがない。西宮北口には行ったことがあるけれど、今津線を利用した記憶がない。なので、今津沿線に住んでいたり、日常的に利用している人にだけ分かるであろうローカルネタが盛りだくさんなんだろうけれど、それが分からないのでその点はちょっと寂しく思った。
そういう意味で、池袋に住んでいたときに読んでたIWGP(石田衣良著)は身近なところで事件が起きていると感じられて楽かったなぁと思い出したりもした。
本書の話に戻ろう。登場人物はどこにでもいる乗客たち。
といっても、女性と学生がほとんどで、実際には大勢乗っているはずのおじさんサラリーマンの姿がない。電車に揺られながら読んでいるサラリーマンたるぼくはちょっと残念。置いてきぼりをくらっている感じ。
ストーリーは、阪急電車の乗客の恋愛と女性同士の人間関係の話が複数絡むオムニバス形式。宝塚駅から出発して西宮北口に到着し、折り返して宝塚駅に戻ってくる。帰りは半年経過していて、登場人物たちの恋愛が進展したり、新しい仕事に転職したり、犬を飼ったりして、ほんの少しずつ進展して幸せになっている。
心温まる話でもあると同時に、一手に悪役を引き受けているのは、関西のオバチャンたち。ブランドに身を包み、香水を振りかけ、社内で大騒ぎしながら、高級料理を食べに行くご一行。
公共機関である電車内で客を選ぶのは同じ乗客。最後には登場人物から追い出されてしまう。
良くできたお話なんだけれど、どことなくすっきりしないのは、登場人物の誰にも共感できないからだろう。おじさんが出てこないんだもの。おじさんも電車に乗っているんだ。
ということで違う路線(でも阪急電車)でおじさんも登場する話が読みたいな、と思う関西を懐かしむ東京在住の三十路手前。
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(感想文の感想など)
その後、今津線に乗る機会があった。たぶん2018年の夏。西宮北口から乗り換えて、宝塚に行ったのだ。
改めて思い出したけれど、今津線には乗ったことがあるはずだ。2003年に閉園した宝塚ファミリーランドには何度も家族で遊びに行ったし、確実に今津線に乗っていたと思う。西宮北口で乗り換えした時に、ふっと思い出したのだ。