40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文22-02:量子コンピュータが本当にわかる!

 

さっぱり知らない領域だけれど、ちょっとは勉強しておこうと思い、読んでみた一冊。タイトルのとおり本当にわかったかと言われるとかなり怪しい。とはいえ、自分の理解を深めるためにまとめておこう。

現代のコンピュータが情報を処理する仕組みをベースに、「量子」という新しい性質をプラスアルファしてパワーアップさせたもの、それが量子コンピュータです。(p.15)

ふむ。量子の性質とは何ぞや。粒子と波動の両方の性質のことだ。理屈は分かる。でも、古典物理学では量子を説明できない。量子を理解できないと、当然、量子コンピュータも理解できない。

現代のコンピュータの脳みそ部分は、実は大量のトランジスタの集合体です。<中略>CPUは、一辺数センチメートル程度の小さなチップです。このCPUのチップには、なんとトランジスタが10億個くらい入っています。(p.39)

偉大な発明であるトランジスタ。そんなに大量のトランジスタがCPUに使われているとは。

量子コンピュータとは、単に情報を重ね合わせて並列に計算するという類のものではなく、たくさんの波を操って「重ね合わせ具合」をうまくコントロールしながら計算を行う、「波を使った計算装置」なのです。(p.123)

理屈は分からないでもない。でも、本当に、量子の波の重ね合わせ具合を精密に制御できるのかは疑問だ。実際に存在するIBMの量子プロセッサーは、絶対零度よりも約百万分の1度上という非常に低い温度まで冷却して作動している。ほぼゼロケルビンの動作環境を用意しないといけないのは、実用化の大きな壁になっている。

物理学では、「情報を失うとき、必ず熱が発生する」という法則(ランダウアーの法則)が知られています。つまり、XORやANDなどの論理演算を使って計算してる限り、どれほど工夫してコンピュータを作ったとしても、熱の発生は避けられないということです。(p.146-147)

なるほど。確かにPCやスマホは熱くなる。論理演算を使って計算すると熱が発生するのは物理現象なのか。情報と熱がリンクするのは自明と言えばそうなのだが、ちゃんと意識したことがなかった。

一方、量子コンピュータは情報を失わず、逆向きにさかのぼることのできるコンピュータなので、熱を発生せず、低消費電力を実現できる可能性があるらしい。でも、量子コンピュータを制御するために、温度の厳密な管理が必要で、そのために膨大な電力が必要となりそうだ。

量子コンピュータを作るには、電子、原子、光子といった量子1個1個を、ありとあらゆる邪魔者から完璧に守った上で、極限まで正確に操る必要があります。(p.204)

せやろな。サイエンスとしては大変興味深い。是非、研究を進めていただきたい。でも実用化には、どうだろうな。まだもうちょい時間がかかりそうだ。

コンピュータ開発のはてしない物語(感想文21-25)のように、コンピュータ開発に終わりはない。人間には強烈な計算フェティシズムが埋め込まれているようだ。

今も世界のあちこちで、大量の計算が高速で行われている。世界は計算で動いているのだ。