本書を読み終えればタイトル「社会正義はいつも正しい」に「そんなわけあるか!」とツッコミを入れたくなるだろう。そう、タイトルは社会正義推進派への皮肉が込められている。 原題はCynical Theories: How Activist Scholarship Made Everything About Rac…
数学ガール ポアンカレ予想(19-08)以来の数学ガールシリーズ。本書はさらにその中の物理ノートというシリーズになる。 本書を読もうとしたきっかけは、仕事で量子技術について勉強しようしたが、入門書にも関わらず早々にギブアップしたのだった。数学ガー…
2024年10月末にインドネシアのジャカルタに渡航した。仕事ではなく完全にプライベートで海外旅行するのは20年前の新婚旅行以来だ。しかも今回は単独での旅行であり、単独での海外旅行は25年前のケニア旅行以来であり、人生で2度目である。 たまたまお友達が…
私は小学生のころから絶滅動物に関心があった。恐竜のように太古に失われた生命ではなく、マンモス、リョコウバト、ステラーカイギュウ、ジャイアント・モア、フクロオオカミ、そして本書にあるドードー鳥など、明らかに人間によって滅ぼされた近代の生き物…
本書はイギリスにおける低賃金労働のルポである。ニッケル・アンド・ダイムド(10-88)と同様にジャーナリストである著者がイギリスの下流社会に潜入した体験記である。ちなみに日本語タイトルはラノベのように長いが、原題は「Hired: Six Months Undercover…
励起 上巻(24-23)に続く下巻。上巻の感想文に書いていたように、上巻は仁科にとって幸せな時代であり、下巻は戦争に突入していく悲しい物語になる。実のところ、読了してからかなりのタイムラグがある。感想文にまとめるのも辛い気持ちになっていたからだ…
訳者あとがきに代えてに記されているとおり、本書は当時コロラド州のデンヴァー大学の教授だったジョン・ウィリアムズが描いた小説で1965年に刊行された。うだつのあがらない大学教師を主人公に据えて書いた作品で、当時はそこまで売れなかったらしい。とこ…
本書のタイトル「Yの悲劇」は1932年に発表されたアメリカの推理作家エラリー・クイーンの長編推理小説(ウィキペディアより引用)をオマージュしている。ちなみに名探偵コナンの登場人物「妃英理」(毛利小五郎の妻)の名前はエラリー・クイーンをオマージュ…
ルワンダ中央銀行総裁日記(16-03)と同じく新書の増補版。情報を追加することによって新たな読者が増えるのは良い試みだ。 著者は速水融(はやみ あきら:1929-2019)。ウィキペディアによると『日本の経済学者。位階は従三位。国際日本文化研究センター名…
※2010年1月26日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 1842年から1879年の37年にわたる詳細な武士の家計簿が見つかった。これにより、武士の経済事情に関する研究が進み、その一般解説書として出版されたのが本書である。 幕末の加賀藩で御算用者として、出世した珍しい…
これまで何冊か半導体に関連する本を読んできた。 マンガでわかる半導体(16-25) 半導体有事(23-21) 半導体戦争(23-15) 徐々に半導体をめぐる国際的な情勢がきな臭くなってきて、「有事」や「戦争」と切り離せなくなってきている。同時に日本では半導体…
※2016年8月22日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 最初に重要なことを伝えておこう。私はこの本を読んでも半導体のことが分かっていない、のだ。 そもそもなぜ半導体について分かりたいと思ったかというと、新しい半導体の研究開発に携わっている組織と仕事上で付き…
『管理職が一度は読んでおきたい定番「マネジメントの名著」』として紹介されていた本書。 管理職が一度は読んでおきたい定番「マネジメントの名著」7冊を解説 | 日経BOOKプラス 管理職になってこういう本をちゃんと読んでおこうと思っていたが、忙しさにか…
本書は仁科芳雄(1890-1951)の伝記である。ウィキペディアによると『日本の物理学者。日本に量子力学の研究拠点を作ることに尽力し、理化学研究所(理研)に在籍して宇宙線関係、加速器関係の研究で業績をあげた。日本の現代物理学の父』とある。 同い年生…
100時間超かけてようやく1周目をクリアしたので感想を書いておきたい。2周目に挑戦するかはまだ決めかねている。エピソードアイギスはDL済だが未プレイ。 昨年度はP4Gリマスター版をクリアし、楽しかったけれどやはり時代の流れを感じ、古臭さは払拭できなか…
名画で読み解く イギリス王家 12の物語(19-06)以来の中野京子さんの著書。同じシリーズで「フェルメールとオランダ黄金時代」があるらしいので、いつかそちらも読んでみたい。 フェルメールと同様に日本では知名度も人気も高い画家であるクリムト。かつて…
人類の起源(24-15)、科学文明の起源(24-17)に続く、「〇〇の起源」というタイトル本3冊目。狙って読んでいるわけではないけれど、起源は魅力的なワードである。 まずは、長谷川眞理子さんのあとがきから引用する。 著者のロビン・ダンバーは、もともとサ…
タイトルに惹かれて購入した文庫本。調べてみると2017年にドラマ化してたらしい。 著者は津村記久子さん。 ウィキペディアには 2000年、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10か月で退社。その後、職業訓練校などを経て2001年に転職。 …
これまできちんと気象学についての本を読んだことがなかったので読んでみた。ただ、私自身は大きな規模の自然現象を理解するのが苦手。気象とか地震とかは現象それ自体を体験していてもメカニズムを正しく理解できていない。 この感想文では、本書から気にな…
仕事で少し宇宙(小型人工衛星)に関わる機会があり、本書を購入した。URL科学文明の起源(24-17)で宇宙探査がグローバリゼーションとナショナリズムに深く関わる科学分野の1つとして示され、またタイトルに「地政学」とあり、ちょうど自分が学びたいことが…
人類の起源(24-15)に続く、〇〇の起源というタイトル。 本書は大変面白い。図書館で借りて読んだけれど、買って手元に置いておきたいほど。 個人的に科学史は好きなジャンルで、これまで感想文を載せている本だと、スキャンダルの科学史(08-11)、誰も読…
本書はシンポジウム「朝日地球会議2023」がベースになっているとのこと。著者名にフランシス・フクヤマ氏が載っていたので、本屋で手に取った。 20代の頃に同氏の著作である「歴史の終わり」や「人間の終わり」を読み、なるほどと感銘したが、あいにく歴史も…
人類の起源。なかなか蠱惑的なタイトルだ。私たち人類の祖先を遡るとサルっぽい何か(人類の起源)になり、さらにさらに遡ると生命っぽい何か(生命の起源)になる。今、現在残っている証拠から起源を特定するのは非常に困難であるが、この分野の研究が進展…
タイトルで買った新書。てっきり砂糖の世界史(09-52)やトウガラシの世界史(16-21)のようなチョコレートの世界史が書かれていると思ったら、違った。 チョコレートという食べ物を軸にして、歴史と宗教の関係をつづったのがこの本です。<中略>今ほど世界…
先日、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催された「未来のかけら 科学とデザインの実験室」展に行ってきた。 展覧会ディレクターは山中 俊治 氏(東京大学生産技術研究所教授)。日産自動車のデザイナーとしてキャリアをスタートした方らしい。 簡単に感…
クリアしたので、ゲーム後感が残っているうちに、7と8の間にある外伝である「名を消した男」も含めて、簡単に感想をまとめておきたい。 そしてネタバレが含んでいるかもしれないけれど、それはもう仕方ない。ご容赦ください。 龍が如く7外伝「名を消した男」…
失敗する自由が超越を生む(感想文24-12)と同じ真山仁さんの著作であるが、こちらは小説。量子物理学者である古澤先生をモデルにした研究者も登場する。 タイトルのタングルとは、もつれる、量子物理学においては、二つのビットが同時に起きる状態を指すと…
ようやく神戸での単身赴任生活が終了し、この春から関東に戻ってくることができた。家族は(おそらく)喜んでいると思う。 新しい部署は量子コンピュータに関連するということで、これまでのHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング=スパコン)とはま…
※2019年(日付不明)のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ プライド(感想文13-01)以来の真山仁さんの小説。本屋にあって、タイトルで気になって購入してみた文庫本。タイトルのとおり、「選挙戦」をテーマとした小説だ。 そういえば、先日、私の暮らす行政区でも選挙…
※2013年1月10日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 真山仁さんの小説。有名な方だけれど、初めて読んだ。 本書は短編集。農業、医、村の産業(養蚕)、不二家の偽装事件、大臣の暴言、ミツバチのCCD(感想文09-55:ハチはなぜ大量死したのか参照)など、わりと新しい…