40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

2021-01-01から1年間の記事一覧

感想文21-31:「私物化」される国公立大学

私が大学生だったのは四半世紀前。あの頃の大学と大きく変わったと耳にしていたが、本書では衝撃の事実が記されている。 学長中心のトップダウン型経営が国公立大学に何をもたらしたか。七つの大学の荒廃した現状を報告する。 7つの大学とは、大分大学、京都…

感想文21-30:物理学者のすごい思考法 

私は物理学への得も言われぬ憧れのようなものを持ち合わせている。派生して物理学者への尊敬の念も持っている。 著者は橋本幸士先生。どうやら2021年度から京大に移られたようだ。同じ教授職で阪大から京大に移るのは珍しいのではないかしら。 高校の時は得…

感想文21-29:亜種の起源 苦しみは波のように

著者は桜田一洋さん。長らくアカデミアと企業で生命科学の分野で研究してきた研究者だ。実のところ、面識はある。もちろん、桜田さんは私を覚えていないだろうが。 本書をどう位置付ければ良いだろうか。サイエンス、科学哲学、生命観、人生論、自叙伝、様々…

感想文21-28:スーパーコンピューターを20万円で創る

「スパコン富岳」後の日本(感想文21-26)に続く、スパコン関係の本3冊目。タイトルが興味深い。え?20万円でスパコンが作れるの? 著者は、伊藤智義さん。本書を読み進めて知ったのだが、漫画『栄光なき天才たち』の原作者である。スパコンを開発し、漫画の…

感想文21-27:起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

本書の著者は大西康之さん。会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから(感想文15-07)の著者でもある。 本書の主人公は江副浩正(1936-2013)。株式会社リクルートの創業者だ。 中村桂子、市原悦子、野際陽子、長嶋茂雄、柳田邦男、大槻義彦、福田康夫、イヴ…

感想文13-22:集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ

※2013年4月17日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 久しぶりにしっかりとした新書を読んだ気がする。テーマは集合知。ウェブとかSNSとかでやたらとつながりが増えた現代において、何かこれまでにない新しい知が生まれる、あるいは生み出されやすい素地ができつつある…

感想文10-13:ウイスキーの科学 

※2010年2月22日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 小雪が登場するあのCMによりウイスキーの人気が上がってきている。 確かに、仕事に疲れた夜に、軽くレモンを搾ったハイボールを美女が提供してくれるというのは、世の男性にとってたまらないシチュエーションの一つ…

感想文21-26:「スパコン富岳」後の日本-科学技術立国は復活できるか

コンピュータ開発の果てしない物語(感想文21-25)に続く、スパコン関係の本2冊目。 著者は小林雅一さん。これまでに小林さんの著作でクラウドからAIへ(感想文14-10)、ゲノム編集とは何か(感想文16-39)を読んだことがある。 本書では、最近、4期連続で4…

感想文21-25:コンピュータ開発のはてしない物語

昭和生まれの私はアナログネイティブだ。 物心ついた頃に家にあったブラウン管のテレビにリモコンはなく、ダイヤルを回してチャンネル切り替え、黒いツマミで音量を調整した。電話は当然のダイヤル式の黒電話だった。 私にとってのコンピュータの出会いはフ…

感想文21-24:警視庁科学捜査官

著者は服藤恵三さん。服藤さんは、警視庁科学捜査官第1号となり、日本の科学捜査の基礎を築いた人物である。 本書では有名な事件がたくさん載っている。私が高校生から大学生の頃で、連日テレビで大騒ぎしていたのを思い出す。地下鉄サリン事件(1995)、和…

感想文21-23:文部科学省

直球のタイトル。初版が2021年3月であり、「今の」文部科学省を知る上での最良の一冊と言える。 私は諸般の事情で2.5年間文部科学省で働いたことがある。今から15年前近くで、丸の内時代と今の所在地である虎ノ門時代の両方を経験した。 私はたったひとつ部…

感想文09-19:さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白

※2009年3月30日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 著者の高橋洋一は、財務省の元官僚である。 本書では、小泉政権下に起きた郵政民営化の全体像が、実働部隊にいた著者の視点から生々しく記されている。 郵政民営化は、05年9月の解散総選挙で、民意を得て、達成され…

感想文08-08:公務員クビ!論

※2008年3月4日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 公務員系の新書今年2冊目。まあ、あれだ。もうおなかいっぱい。もういいよ。今年はもうこれ以上、公務員に関連する本を読みません。たぶん。 本書はひどく真っ当。著者自身の人生、経験を元にして、公務員が抱える苦…

感想文08-03:公務員、辞めたらどうする?

※2008年1月30日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 公務員の人生というものに興味があった。どうしてって?今、そういうところに出向していて、公務員たちに囲まれて仕事をしているから。 日本は小さな政府を目指している。職員の数を減らしたり、人件費を減らしたり…

感想文21-22:名画で読み解く プロイセン王家12の物語

名画で読み解く イギリス王家 12の物語(感想文19-06)に続く、名画で読み解くシリーズ第5段。 今回の舞台はプロイセン王国。世界史(どころか歴史全般)に疎い私は、プロイセンと聞いてもよくわからない。ドイツの昔の名前で、普仏戦争の「普」の方くらいに…

感想文21-21:土偶を読む

jbpress.ismedia.jp この記事を読んで、関心を持ち、本書を読むに至った。早速、結論を載せておこう。 そこで私は宣言したい。-ついに土偶の正体を解明しました、と。結論から言おう。土偶は縄文人の姿をかたどっているのでも、妊娠女性でも地母神でもない…

感想文21-20:美貌格差 生まれつき不平等の経済学

美しい人は得をするのか。本書では経済学者がこの疑問に真っ向から取り組んでいる。 読書リストを調べてみると、これまで美についての本を読んだことはない。アートや芸術に関連する本は読んだことがあるが、何を美とするのか、あるいは何を醜とするかについ…

感想文21-19:経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史

「人新世」の資本論(感想文21-06)で話題になった「脱成長」というコンセプト。本書は、経済成長は至上命題なのかという根本的な疑問に挑んでいる。 本書が掲げるおもな疑問は次のとおりである。経済成長が停滞しても、現代社会は存続するのだろうか。日本…

感想文21-18:科学者をまどわす魔法の数字,インパクト・ファクター

何かを正しく評価するのは大変難しい。会社組織での自身の働きと、その評価が乖離していると感じる人は少なくないだろう。あるいは大した働きもしていないのに評価されている人をやっかむこともあるだろう。 なろう系小説や漫画での追放モノのテンプレは、現…

感想文21-17:雪ぐ人 えん罪弁護士今村核

著者はノンフィクション作家の佐々木健一さん。これまで辞書になった男(感想文14-62)とMr.トルネード 藤田哲也(感想文17-48)を大変面白く読ませていただいた。 佐々木は人物に焦点を当てて描くタイプの作家だが、その人選がユニークだし、脈絡がなくて幅…

感想文17-48:Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男

※2017年9月28日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 辞書になった男 ケンボー先生と山田先生(感想文14-62)以来の佐々木健一さんのご本。辞書になった男は非常に印象に強く残っている作品で、非常に面白かったのを覚えている。佐々木健一が書いた本ということで、期待…

感想文14-62:辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

※2014年12月19日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 本書は辞書の物語である。って、辞書?辞書は無味乾燥で、淡々と言葉の意味を説明し、整理したものと思っているかもしれない。私も思っていた。辞書に個性は疎かたいした違いはないと。そうじゃないのだ。辞書も人…

感想文21-16:だれのための仕事

本書の原本の刊行は1996年と四半世紀も前。その15年後の2011年に文庫版が出版され、補章が追加された。例示にやや古めかしさを感じさせるが、通底する労働への苦悩は、現代でも多くの示唆を与えてくれる。 題名にあるとおり、仕事には必ず顧客がいて、その顧…

感想文21-15:アパレルの終焉と再生

知らない業界について学ぶのは刺激的だ。仕事柄、アパレル業界とは接点がなく、おしゃれな服を買わないし、最先端のファッション動向も皆目検討つかない。 40歳を過ぎると、そもそもどういう服を着れば良いか分からない。仕事では、基本的にスラックス、ワイ…

感想文21-14:フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔

本書の著者は、高橋 昌一郎さん。これまで高橋さんの著作では、知性の限界―不可測性・不確実性・不可知性(感想文10-46)、 理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性(感想文11-26)を読んだことがある。 本書の主人公はジョン・フォン・ノイマン(1903-195…

感想文11-26:理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性

※2011年7月16日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ どうやら順番が逆のようで知性の限界―不可測性・不確実性・不可知性(感想文10-46)の前書となるのが本書。とはいえ、順番を間違えても関係がないっぽい。どっちから読んでも楽しめる人には楽しめるはず。 今回も科…

感想文10-07:数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

※2010年1月31日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ バーゼル問題などを扱った数学ガール(感想文08-44)、そして、数学ガール/フェルマーの最終定理(感想文08-57)に続く、数学ガールシリーズ第三弾。 今回は、ゲーデル(1906~78)の不完全性定理。そうか、ゲーデ…

感想文08-57:数学ガール/フェルマーの最終定理

※2008年10月29日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 前書、「数学ガール(感想文08-44)」の第二弾。 著者ご本人から続きも出てます、というお知らせを頂戴したので、ありがたく続きを読ませてもらいました。 さて、前書との違いは、何か。そう、登場人物が一人増えた…

感想文08-44:数学ガール

※2008年8月26日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 文句なく面白かった。現時点で今年一番面白い。 自らも主人公になった気持ちで、ミルカさんやテトラちゃんと一緒に数学の世界を旅する。違う国を渡り歩き、最終的に目的地に到達する。 その旅は驚きと興奮の連続だ。…

感想文21-12:科学と非科学 その正体を探る

「科学」について考えることは私のライフワークだ。科学とはなんぞやという根本的な問いも大事だし、本書のように科学と非科学の境界について考えるのもとても楽しい。 東京が緊急事態宣言で図書館が閉館(この対処法には大変不満があるがそれはまた別の話)…