40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文24-24:だから僕たちは、組織を変えていける

『管理職が一度は読んでおきたい定番「マネジメントの名著」』として紹介されていた本書。

管理職が一度は読んでおきたい定番「マネジメントの名著」7冊を解説 | 日経BOOKプラス

管理職になってこういう本をちゃんと読んでおこうと思っていたが、忙しさにかまけて全然読めていなかった。管理職になってはや3年が経つが、その間、管理職について様々なことに悩んできた。本書の存在を知り、遅まきながら読んでみることにした。

実のところ、本書を読むちょっと前まで「ミドルエイジ・クライシス」に悩んでいた。ミドルエイジ・クライシスとは、ごく平たく言えば、自分の将来が何となく見えてしまって鬱っぽくなってしまうことだが、自分自身もそうではないかと、日々苛まれている閉塞感はそれなんじゃないかと苦しんでいた。多くの男性が通らなくてはいけない暗く細い道だと思っていた。しかも解決しない現象であり、ゆえに悩みは一層深いものになっていた。

ところがだ、この本を読んで、ぱっと思考の地平が拓けた。どうやら私の精神状態はミドルエイジ・クライシスではなく、単に前年度に働きすぎて、単身赴任が辛すぎて、過労と孤独がたたって精神的に参っていただけだったのだ。

今年度になって家族と一緒に生活するようになったけれど、一向に気分が上向かなかったのでミドルエイジ・クライシスだとばかり思い込んでいた。そうではなかったのだ。視界が明るくなり、広がり、人生が輝いて見えるようになった。ちょうど新しい部署に慣れてきて、精神的にゆとりが出てきたタイミングと合致したのかもしれない。自分自身を客観視するきっかけを本書が与えてくれたのかもしれない。

そういう意味で、本書に救われたと言っても過言ではない。私自身は至極単純な人間で、すぐに影響を受ける。でも精神的に疲弊していると感受性が摩耗し、猜疑心が強くなり、頑迷になり、ただでさえ低い共感力は微塵も働かなくなる。このまま偏屈な老害になってしまうのかと危惧していたが、本書で「当たり前のこと」に気づかされ、急激に精神状態が快復していった(気がする)。

哲学者マルティン・ブーバーが「われとなんじ」「われとそれ」とした表現である。(104)

「我は汝、汝は我」。「私はあなたであり、あなたは私だ」という意味で、言わずと知れたRPGペルソナで出てくるセリフ。何度も何度も聞いたはずなのに分かっていなかった。誰か他者と対峙した時に「我は汝、汝は我」と捉える視点を完全に見失っていたのだ。あんなにペルソナシリーズを長時間かつ何度もプレイしているのに。

安心は笑顔からはじまることを思い出そう。(109)

管理職研修や1on1面談研修で何度も聞いた「心理的安全性」。用語や定義は理解していたが、実践できていなかった。そうか、笑顔か。別段、普段から笑わない不愛想な人間ではない。でも明らかに笑顔が少なかったと反省している。少し表情筋を緩めてみよう。笑顔が出にくい時は昔の次男の写真を見直すようにしよう。

そうしてこの日以来、まず笑顔にしようと気持ちを切り替え、そして全員に対してコミュを高めようと決心したのだった(でも当然ながら特別な関係には至らないようにしよう)。

結局、完ぺきな人間はどこにもいないし、バイオリズムや気分の浮き沈みもある。また外部環境は目まぐるしく変化し、生成AIなど新しいテクノロジーは次々と登場する。

ミドルエイジ・クライシス(≒自分の将来が何となく見えてしまって鬱っぽくなってしまうこと)に話を戻すけれど、よくよく考えてみると、何となく見えてしまっているように思える自分の将来像は、全くの的外れで、かなり楽観視した幻想である蓋然性が高い。外部環境が劇的に変化し、VUCA時代と言われて久しい中、ああ自分の人生見えたな、何だか詰まんないなという心境になるのは、今にして思えば不思議でならない。中年の人生は、結末が見えてきたRPGの終盤ではないのだ。

自分自身を変え、組織を変え、そして世の中を変えていく。そうやって変化した世界でまた自分自身が変わっていく。

単純だけれど、自分自身を変えられるのだったら、つながる世界も変わっていくと信じられるはずだ。まずは笑顔を増やす。それだけで世界が変わるかもしれない。