40代ロスジェネの明るいブログ

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感想文18-37:フィリピンを知るための64章

※2018年9月13日のYahoo!ブログを再掲

 

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私の密かな人生の数値目標の一つに、30カ国に行ってみるというのがある。現時点で18カ国(台湾含む)への渡航歴がある。今年の11月頃に、短期の語学研修目的でフィリピンに行く予定である。同国が19カ国目となる。このペースでいけば目標を達成できるだろうか。

海外へ渡航する前には必ず、この「○○を知るための○章」シリーズを読むことが習慣になっている。今回もフィリピンに行く前に読んでみた。

そもそもフィリピンのことをよく知らない。フィリピンといって思いつくことは、フィリピン・パブ、ドゥテルテ大統領、バナナ、太平洋、東南アジア、英語圏。くらいだろうか。首都ってどこだ?すぐには答えられない。その程度の知識しかない。

外務省HPを参考にフィリピン基本情報を整理しておこう。

面積は日本の約0.8倍で7,000以上の島からなる島国だ。人口は約1億人と多いが、全体的に若い。さぞやエナジェティック(energetic ※エネルギッシュは和製英語)だろう。公用語はフィリピノ語と英語であり、フィリピン人の多くは英語を流暢に操ることができる。そして国民の8割以上がカソリックであり、東南アジアには珍しくキリスト教国家である。

ざっくりした歴史は、1571年にスペインが統治開始、1898年に米西戦争で米が勝利し統治開始、 1942年に日本軍政開始を経て、1946年にフィリピン共和国が独立している。スペイン→アメリカ→日本→独立という流れで、日本がフィリピンを統治(植民地支配)していた時代があった。

同じく外務省によるASEAN10か国における対日世論調査から、フィリピンの日本に対する好感度を載せておこう。「Q4 あなたの国にとって,今後重要なパートナーとなるのは次の国のうちどの国ですか。」についてフィリピン人回答者の62%が日本を選択している。複数選択可能であるが、この割合はアメリカ(55%)より高く1位である。

「Q6 次の国のうち,最も信頼できる国はどの国ですか。(ひとつ選ぶ)」の場合、日本が40%でトップ(2位のアメリカは35%)。ざっとアンケート結果を見ると、日本とアメリカに好感度が高く、信頼していることが伺える。なお、スペインは選択肢にないためはっきりしたことは分からないが、今ではフィリピン人にとってスペインはさほど重要と思われていないかもしれない。

このように、統治されたという暗い歴史があるとは言え、フィリピンはアメリカと日本に好意的な国だ。これで安心して渡航できるな。

改めて本書で初めて知ったことを挙げておこう。

フィリピン政府の統計によると、在外フィリピン人は2015年現在で1000万人を超え、総人口の1割に達している。(p.40)

人口1億人で、1割の1000万人が海外にいて、その多くが仕事をしている。総務省統計によると日本には20万人がいるらしい。かなりの人数ではあるものの、やはり言語の壁があるためか、英語圏ほどには来ていないようだ。

アメリカ植民地期はおそよ二つの潮流の結節点だった。第一には、北米大陸の東部から西への膨張である。(中略)第二には、旧帝国スペインから新興帝国アメリカへの覇権の移行である。(p.113)

ヘゲモニーの変遷が国家の支配者とリンクする。かつて「太陽の沈まぬ帝国」として覇権国家に君臨したスペインだが、栄枯盛衰の常でオランダにその覇権を奪われてしまう。そのオランダも大英帝国に奪われ、その後、アメリカが長く覇権を保つことになるのであるが。そして、Go Westの流れがフィリピンまで届いているとは思いもしなかった。

ひとたび足を踏み入れると、外国人たちはこの国の「いい加減さ」を思い知る。そして母国と比較して、南国の方に居心地を感じる。もちろん、どちらも一長一短だ。(p.196)

東南アジアにはこれまでシンガポールとマレーシア(のペナン島)しか行ったことがない。シンガポールは例外として、東南アジア全体に対して何となくルーズな印象を抱いているが、今回の短期英語研修でもそのルーズ感が発揮されることであろう。まあ、細かいことを気にしても仕方ない。どーんと構えて、そのいい加減さを楽しむことにしよう。

従来の大統領が「豊かさ」を約束してきたのに対して、ドゥテルテは国民の自由を統制する厳格な「規律」を掲げる。それを人びとが支持しているのだ。(p.268)

テレビ画面越しではヤクザの親分みたいな迫力のあるドゥテルテ大統領。実際に違法に密輸入された外国製高級自動車をブルドーザーで破壊するとか、麻薬撲滅のために密売人を射殺するとか、何ともラディカル&デンジャラスなキャラではある。

学のない武闘派かというとそうではない。法律家であり、検察官として約10年働いた実務経験もある。見た目からは意外だ。法律家のため、規律を重んじ、だからこそ時には暴力をも使いこなす。先進国になるために苦心し足掻いているのかもしれない。そんな人間を大統領にフィリピン国民が選んだのだ。

年齢中央値は23歳で、日本の46歳、タイの33歳、インドネシアの28歳などに比べると若さが際立つ。(p.276)

若っ。羨ましい。老人国家の日本とは違う。そりゃあ、日本経済は停滞するよな。

フィリピンの経済発展は偏った経済構造と格差を伴い、包摂的(inclusive)ではなかったのである。また、それだからこそ経済発展のスピードが遅いとも考えられる。そして遅いがゆえ、いつまでも包摂的にならない。そんな悪循環が長く続いてきた。(p.284)

フィリピンの経済発展は包摂的(inclusive)ではなかった。つまりexclusive(偏っていた)とも言える。重化学工業ではなく、サービス業の比重が大きかったこと、それから大きな格差が未だにあること、これはフィリピンという国家の課題であると言える。国民全体が若いというアドバンテージがあるものの、他の東南アジアの国々に比べて経済成長は相対的に緩慢である。

フィリピン観光局の調べによると、約46万人(2014年)の日本人訪問者の内、その約1割弱(3万人程度)が英語留学・研修目的の渡航だと言われている。(p.379)

年間3万人が私のように英語研修のためにフィリピンに行っている。一向に日本人っていうか私の英語力は上がらない。やはり本人が必死にならないと向上しないな。まだ私自身に必死さが足りてない。英語できないヤツはクビだー!とか大号令がかかると必死になるのだろうか。あるいは転職活動を始めるのだろうか。

英語化は愚民化(感想文17-11)で私自身の考えは既に示している。グローバリズムは国家と敵対する概念であり、国家はその存続のための行動を既に起こしている。

こうなってくるとなぜ私は英語を勉強するのか、なぜわざわざフィリピンまで行こうとするのか、と問われるかもしれない。うーん、やっぱり英語喋れるようになりたいんだよね。別に流暢でなくてもいいから、外国人と普通に会話ができるようになりたい。inferiority complex(※コンプレックスに劣等感という意味はない)といえばそうなるかな。それからやりたいプロジェクトでやはり英語が必要だからだ。

何か小さいことでも良いから挑戦を続けていきたい。もうすぐ40歳だし、意識的に行動しないと、どんどん凝り固まった人間になりそうだもんな。

え?ちょいちょい英語と※が入っていて、文章が面倒くさいって?たまには英語交じりの文章でも書いて、勉強してる感出してみたかっただけなんだ。許して下さい。

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(感想文の感想など)

フィリピン情報をアップデートしておこう。「フィリピンのトランプ」とも揶揄されていたドゥテルテは政界を引退し、2022年6月からはボンボン・マルコスが大統領に就任している。副大統領は前大統領であるドゥテルテ氏の長女であるサラ・ドゥテルテが着任し、両者は蜜月関係だったのだが、つい最近(2024年1月28日)、瓦解したらしい。

ということでここから、フィリピンは深い混迷を迎えるだろう。内戦状態に近い。

そういえば、昨年の夏に長男もフィリピンに1週間、語学留学した。とても楽しかったらしい。そりゃ、私よりもはるかに良い宿泊施設で生活したのだから。残念ながら英語力は向上してない。初海外という経験だけでも良かっただろうか。

長男は今年も行きたいみたいだが果たしてどうか。フィリピンの政情は要チェックである。