40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文13-16:カポネ

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※2013年3月26日のYahoo!ブログを再掲
 
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知っているようで全然知らないアル・カポネ(1899-1947)の話。ちなみに同い年生まれは、川端康成アーネスト・ヘミングウェイ壺井栄アルフレッド・ヒッチコック池田勇人
そういえばアル・カポネに関する映画を見たことがなければ、本でも読んだことがない。断片的に知っているのは禁酒法時代のギャングだということと、「アンタッチャブル」という言葉と、脱税で捕まったっていうことくらい。

1920年1月17日の午前零時をもって、いよいよ施行が開始された「高貴なる実験(ノーブル・エクスペリメント)」こそは、かの有名な禁酒法なのである。

ウィキペディアによると、『1919年から1933年までアメリカ合衆国憲法修正第18条下において施行され、消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止された法律』とのこと。結構、長く続いたんだね。

今や経済学の常識になっているけれど、酒もタバコも麻薬も売春も既に取引されていればそれを禁止することは極めて難しい。かえってアンダーグラウンドで取引されるようになり、価格は高騰し、質は低下し、ヤクザが儲かる。
まさに禁酒法がカポネの余剰を増やし、犯罪組織を合理的に経営し、アルコールの地域独占を達成させた。貧しいイタリア系がアメリカで成功するためにこの法を利用したわけだ。ホワイトでもプロテスタントでもない、やや浅黒くてカソリックなイタリア系(日本人からすると全く見分けがつかないのだけれど)の当時の辛い状況を初めて知った。
本書は2部から構成されている。1部はアル・カポネがのし上がり、暗黒街の帝王になるまで。そして2部からはエリオット・ネスが主役となるが、そこにはネスもアルもどちらも暗い人生を歩んでいく姿が赤裸々に描かれている。

旧禁酒局の元特別捜査官エリオット・ネスが書いた「アンタッチャブル」は、1957年の秋に出版されるや、空前のベストセラーとなっていた

アンタッチャブルっていうのは、てっきりアル・カポネのことだと思っていた。ところがそうではなくって、カポネといったギャングから賄賂を受け取らない、ギャングが触れないってことで、特別捜査官がアンタッチャブルだったんだ。そうか、あくまで主人公は悪いギャングを捕まえる警察側だったんだ。

そうして、カポネは脱税で逮捕される。そしてその後にアメリカでは「ニューディール政策」が打ち出される。

フェアではあるが無秩序な自由競争に任せるのではなく、政府が強権をもって積極的に経済に介入する。平たくいえば、政府が自ら事業を起こし、労働者に職を与え、あるいは補助金を交付する。「要するにアル・カポネのやり方だ」

なるほど。こういう視点は斬新で面白い。ニューディール政策については改めて経済学の本で勉強したい。

ヒーローでも、アンチ・ヒーローでもなく、ひたすらに情にもろい人間

アル・カポネの人間としての大きさ、無邪気さ、純粋さ、残忍さが余すところなく描かれている。これまでほとんどアル・カポネのことを知らなかったぼくでも楽しく読むことができた。

イタリア人が家族を大事にし、母親の手料理を好む。ギャングスターのカポネも同じだ。
うーん、イタリア料理が食べたい。って、今日の夜はイタリアンで会食だ。奇遇!
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(感想文の感想など)
現在、2020年は禁酒法制定からちょうど100年ということで、振り返りの記事をちょくちょく見かける。
BBCニュースで知ったのが、南アフリカではコロナでロックダウンはもちろんのこと、酒類の販売を禁止したとのこと。南アフリカがワインの生産地でもあるんだけれど、側溝にワインを捨てるシーンが流れていた。6月から解禁になったらしい。
日本では麻薬取引には強い規制がかかっているが、酒類はゆるい。海外よりもはるかに安くて高アルコールの飲み物が手に入る。アル中が社会問題化したら規制されるかもしれないが、その時にはすでに対応が遅いってことだろうな。