40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文14-10:クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場

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※2014年2月20日Yahoo!ブログを再掲

 

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情報分野の世界では、次々と新しい言葉が生まれては、消えていく。私が情報科学の進展に全く追いついていないように、新しい用語やコンセプトもほとんど把握できていない。

少し前ならユビキタス、ちょっと前だとクラウド、最近ではビッグデータという言葉をよく見たり、聞いたりする。色々な機械がつながり、遠い何処かの巨大なコンピュータで大量のデータが処理され、便利になるという印象を持っている。

実世界はそうなりつつあるけれど、イマイチ、これまでの用語ではイメージしにくく、どこか納得できていなかった。繋がることが大事なのか、データが手元にないことが大事なのか、データがたくさんあれば良いのか、データ処理の仕方が鍵になっているのか。

クラウド・コンピューティングの次に来るキー・テクノロジーは、実はビッグデータというより(それを処理するための)AI技術なのです。

本書は、AI、つまりは人工知能という使い古されたコンセプトが、キー・テクノロジーであると断言し、人工知能復権してきていることを示している。

なるほど、人工知能か。本書によって、情報分野の世界(あるいは近未来と言い換えても良いかもしれない)をビビットに思い浮かべることができるようになった。それでは、本書で印象に残った人工知能に関する箇所を挙げておこう。

現代のAIは人間が生み出す大量のデータ(ビッグデータ)を吸収し、自律的な機械学習によってそれを消化(分析)し、より高性能なものへと成長を遂げます。(中略)現代AI革命の巨大なポテンシャルを示しているのです。

ビッグデータの吸収・消化がAI革命を引き起こす。単なる予測ではなく、知能としての振る舞いすら感じさせる。大事なのはデータの量でも置き場所でもない。そこから知能と呼べるようなものが生まれつつあるということだ。

ディープ・ラーニングはニューラル・ネットワークの一種で、より低レベルの情報から高レベルの情報を段階的に導き出す機械学習の新方式です。

機械も学習する。しかも、人間ほど効率は良くないかもしれないが、電力があれば疲れを知らないし、大量のデータにも対応できる。機械が人間を真似できないように、人間が真似できない芸当を機械はこなせるのだ。

アップルは「Siri」、グーグルは「セマンティック検索」、そしてフェイスブックは「グラフ検索」によって、いずれもスマホに向かってユーザーが知りたいことを囁くだけで、最も使える情報を最も簡単に提供しようとしています。

石田衣良さんの小説『アキハバラ@DEEP』を思い出す(ずいぶん昔に読んだので感想文はありません)。その小説では、『高度な人工知能による画期的な検索エンジン「クルーク」(ウィキペディアより引用)』が開発されている。当時読んだ印象では、まさかこんなことは現実にはならないよなと思っていた。ほんの10年くらいで現実のものになるとは…。

Siriは元々、米国防省傘下の研究機関であるDARPAが資金を拠出した研究プロジェクトに端を発しています。

最近、日本でもこのDARPA方式の研究費助成システムが始まろうとしている。ポイントは、軍ための研究ということではなく、エージェントアプローチと呼ばれる方法のことだ。

具体的な目標を定め、高額の賞金を出したり、メディアで大々的に宣伝して研究者の開発意欲を刺激すると、ほとんどSF的と思われるプロジェクトでも人間は成し遂げてしまうのです。

ということで、このエージェントアプローチが日本にも導入されつつある。

とはいえ、良いことばかりではない。本書では人工知能の陰の部分も言及している。

ニューラル・ネットワークの自己組織化がもたらす最大の危険性は、その可塑性によって生じた内部変化が外部からは解明できないことです。

これを『ニューラル・ネットワークの「ブラック・ボックス化」』という。人工知能機械的に学習していくが、どのように変化したかは外部から分からない。人間の脳と変わらないじゃないか。

米証券取引委員会による調査で、フラッシュ・クラッシュの引き金となったのは、ある機関投資家の自動取引システムが出した大量の売り注文であることが判明しました。

証券取引は今は機械が請け負っている。人間の勘と経験ではなく、ビッグデータを背景に予測し、スピーディに判断する。しかし、機械だけの判断では、行き過ぎた結果をもたらすこともあるのかもしれない。どんどん取引が加速し、人間が立ち入ることが困難になっているのかもしれない。

結局、様々なコミュニケーションのうちのかなりの部分は、相手に対する自分の勝手な思い込みや感情移入によって成立しているのかもしれません。

人間は機械や人形や二次元に恋することができる。思った以上に柔軟にできている。逆に人工知能が人間に恋するようになれば、晴れて人工知能は人間に等しいと言えるだろう。

人工知能の発達は人間の世界に何をもたらすのだろうか。機械との競争だけでなく、機械と協力し、人間の協力を促し、そして時には恋が生まれる、そんな世界にならないだろうか。

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(感想文の感想など)

今ではAIや機械学習という言葉はすっかり市民権を得て、身近なものになっている。AIが適切な勉強法を提示したり、晩御飯のレシピを提案したり、大喜利でボケたりしてくれる。

AIの次は何だろうか。おじさんは全然ついていけてない…。