40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文18-43:植物たちの救世主

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※2018年10月18日のYahoo!ブログを再掲

 

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マンモスを再生せよ(感想文18-42)のように絶滅した動物を復活させようとしている科学者がいれば、本書のように絶滅の危機にある植物を救世しようとする著者のような方もいる。

著者は、世界最大級の植物園である英国王立キュー・ガーデンの現役職員であるが、厳密には科学者ではない。しかし、

絶滅した極小スイレン 園芸家が栽培に成功=英国という記事に詳しいように、注意深く観察し、試行錯誤を繰り返し、誰もが救うことができなかった植物を救ってきたという比類ない実績を持っている。

その現場にゲノム編集や人工知能といった最先端技術は注ぎ込まれていない。それどころか、高精密な実験装置や解析装置も用いられていない。植物や種子をつぶさに観察し、過去の論文を丁寧に読み込み、仮説を立て、実験し、失敗し、また試し、植物が育つことができる条件や環境をまるで探偵のように突き止めていく。筆者の粘り強さ、しつこさ、観察眼と洞察力に、私はただただ感服するほかない。

植物がどんなもので、どんなふうに役に立っていて、人間が生きてゆく上でどんなに重要なのかを語り、なぜ人間が植物を救わなければならないのかを説明したい。地球の未来-私たちの子どもたちの未来-の鍵を握っているのは植物だ。(p.11)

植物は〈未来〉を知っている(感想文18-33)と同様に、本書は植物の重要性を訴えている。先進国も途上国も関係なく、一般に植物は動物ほど大切にされていない。実際に希少な植物が雑に扱われたエピソードが本書でもたくさん登場する。

地球の陸地のうち、島の面積は全体の約5%にすぎないが、既知の「高等」植物の4分の1にあたる約7万種が島の固有種なのだ。(p.54)

絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇(感想文18-26)で示されていた湖に淡水魚の固有種が棲息するように、島ごとに植物の固有種がある。動物ほど目立つ存在ではなく、多くの植物が生えている中で、どれが希少であるか、絶滅の危機にあるか、普通の人には分かりようもない。邪魔な木だと切り倒したら、それが世界で最後の1本だったりするのだ。

現在、5種に1種の植物が絶滅の危機に瀕しているとされている。(p.273)

私たちは多くの植物を利用して生きている。しかし、それら植物の能力を十分に使いこなしているわけではない。20%もの植物種を失ってしまうことは、大きな財産を逸してしまうことになる。

アフリカ、アジア、南米の熱帯森林の40年に及ぶ研究から、こうした森林が化石燃料の燃焼によって生じる二酸化炭素の18%を吸収していることが明らかになった。熱帯森林が大気中から除去する二酸化炭素の量は年間約50億トンにもなり、その働きを金銭に換算すると年間約130億ポンド(約2兆円)になるという。(p.281)

開発、温暖化、土壌汚染や大気汚染によって、森林が減りつつある。いよいよ地球がヤバい感じになりつつあるが、人類は直面している地球環境問題を解決することができるのだろうか。SDGsを達成できるのだろうか。

著者のような絶滅危惧の植物を救うことは、砂漠に水をまくような行為なのかもしれない。それでもこういった取り組みが注目され、重要だと考えられるようになっていけば、活動の輪が広がっていくだろう。

私のマメでない性格から向いているとは思えないが、園芸を初めてみようかなと最近、思いつつある。仕事に関係するからと、植物に関する本を数冊読んでみたものの、まともに植物を育てた経験すらない。小学生の時のアサガオくらいだろうか。そろそろ実践に移す頃かな。40歳に向けて、新しい趣味を持ってみようかな。

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(感想文の感想など)

園芸をやろうかなと思ってできてない。コロナ禍で何か植物で育てようかなと思って、百均でカゴにまで入れたが、育てる自信がないと棚に戻した。

でもやっぱりいつかは植物を育ててみたい。それから魚をさばけるようになりたい。老後に向けた準備の一つとして。