40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文21-08:ヤタガラス

 

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ゴースト(感想文21-07)の続編。

前回の感想文は働くことについての吐露だったが、今回は生み出すことが感想文のテーマ。

私はそんなに多くではないものの、生み出してきた。決して偉そうには言えない。なぜなら私以外の方も何かを生み出してきているからだ。

ただし、誰しもが世紀の大発明を生み出すわけではない。でもそんな大発明もきっかけは、ちょっとした逆転の発想だったり、ほんの些細な違和感だったり、何かと何かのありもしない組合せだったり、あるいは大胆な省略かもしれない。

新たな何かを生みだすときに必要なのは非日常的な力であり、それは祝祭の熱狂にうかれる民衆のパワーと相似形である。(中略)トランスミッションは、いわば信仰の対象にも等しい偶像であった。信仰に終わりがないように、技術にも終点はない。日々、向き合って思い知るのは自らの無知であり、無力である。ひたすら謙虚になり、そして来る日も来る日も枯れ果てぬ情熱を根気よく注ぎ込む。(p.128)

信仰に終わりがないように、技術にも終点はない。大変、興味深いお言葉だ。自然への畏敬をベースに終わりなき根気さと実直さが技術の道を切り拓いていく。枝分かれと合流を繰り返し、ときに途絶え、ときに主流となる。

ものづくりに必要なのは、技術や効率だけではない。それ以上に大切なのは、意義である。その主旨に賛同し、情熱の対象とならない限り、ものづくりは成就しない。(p.175)

何のためのものづくりなのか。技術や効率だけでは画竜点睛を欠くのだ。科学者や技術者が燃える、そんなものづくりの現場はまだ残されていると信じたい。