40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

感想文23-11:特許やぶりの女王

本書も読んでから感想文を書くまでかなりタイムラグがある。特許をテーマにした珍しい小説。神谷弁護士(現実世界では鮫島先生がモデル)の登場する下町ロケット(感想文11-59)は有名なので、特許に興味のある方はお読みになったらいいだろう。

本書の著者は南原詠さん。解説には、

弁理士とは、特許権や商標権などの知的財産の専門家で、国家資格が必要だ。そして南原氏は現役の企業内弁理士である。(p.273)

弁理士が小説を書くというのも珍しい。ちなみに本作は2022年度第20回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞している。

VTuber事務所が特許侵害で警告を受けるストーリーで、なかなかとんがった設定で興味深い。事件が進むにつれて徐々に真相が明らかになっていく。

「如月測量機器がハナムラの関連会社とはな。おまけに華村がいじげんたじげんに投資していたとは。」「私も驚いた。でも間違いない。でなければ天ノ川トリィの撮影システムが間違いなく動くはずがない」「如月測量機器の撮影システムは、実はハナムラの製品だった。天ノ川トリィはそんなことは知らず、フリマでシステムを購入した」(p.219)

ふむ。フリマで買った撮影システムが特許に侵害しているから訴えられたということだが、販売した如月測量機器ではなく、購入したVTuber事務所が訴えられるのか疑問が湧いた。適法な流通ではないから国内消尽には当たらないのかもしれないが、それにしても特許を侵害していると知らずに購入した製品について特許侵害で訴えられるってケースって現実にあり得るのだろうか。この辺りの解説はどこかにないだろうか。

本書は小説では珍しい特許訴訟を扱っている。結構はハイテンションでストーリーは展開していく。続編も出ているらしく、ちょっと読んでみたい。

本屋で続編を探したが売ってない。もうちょい大きい書店に行くかな。