40代ロスジェネの明るいブログ

2020年1月11日からリスタート

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感想文21-22:名画で読み解く プロイセン王家12の物語

名画で読み解く イギリス王家 12の物語(感想文19-06)に続く、名画で読み解くシリーズ第5段。 今回の舞台はプロイセン王国。世界史(どころか歴史全般)に疎い私は、プロイセンと聞いてもよくわからない。ドイツの昔の名前で、普仏戦争の「普」の方くらいに…

感想文21-21:土偶を読む

jbpress.ismedia.jp この記事を読んで、関心を持ち、本書を読むに至った。早速、結論を載せておこう。 そこで私は宣言したい。-ついに土偶の正体を解明しました、と。結論から言おう。土偶は縄文人の姿をかたどっているのでも、妊娠女性でも地母神でもない…

感想文21-20:美貌格差 生まれつき不平等の経済学

美しい人は得をするのか。本書では経済学者がこの疑問に真っ向から取り組んでいる。 読書リストを調べてみると、これまで美についての本を読んだことはない。アートや芸術に関連する本は読んだことがあるが、何を美とするのか、あるいは何を醜とするかについ…

感想文21-19:経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史

「人新世」の資本論(感想文21-06)で話題になった「脱成長」というコンセプト。本書は、経済成長は至上命題なのかという根本的な疑問に挑んでいる。 本書が掲げるおもな疑問は次のとおりである。経済成長が停滞しても、現代社会は存続するのだろうか。日本…

感想文21-18:科学者をまどわす魔法の数字,インパクト・ファクター

何かを正しく評価するのは大変難しい。会社組織での自身の働きと、その評価が乖離していると感じる人は少なくないだろう。あるいは大した働きもしていないのに評価されている人をやっかむこともあるだろう。 なろう系小説や漫画での追放モノのテンプレは、現…

感想文21-17:雪ぐ人 えん罪弁護士今村核

著者はノンフィクション作家の佐々木健一さん。これまで辞書になった男(感想文14-62)とMr.トルネード 藤田哲也(感想文17-48)を大変面白く読ませていただいた。 佐々木は人物に焦点を当てて描くタイプの作家だが、その人選がユニークだし、脈絡がなくて幅…

感想文17-48:Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男

※2017年9月28日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 辞書になった男 ケンボー先生と山田先生(感想文14-62)以来の佐々木健一さんのご本。辞書になった男は非常に印象に強く残っている作品で、非常に面白かったのを覚えている。佐々木健一が書いた本ということで、期待…

感想文21-16:だれのための仕事

本書の原本の刊行は1996年と四半世紀も前。その15年後の2011年に文庫版が出版され、補章が追加された。例示にやや古めかしさを感じさせるが、通底する労働への苦悩は、現代でも多くの示唆を与えてくれる。 題名にあるとおり、仕事には必ず顧客がいて、その顧…

感想文21-15:アパレルの終焉と再生

知らない業界について学ぶのは刺激的だ。仕事柄、アパレル業界とは接点がなく、おしゃれな服を買わないし、最先端のファッション動向も皆目検討つかない。 40歳を過ぎると、そもそもどういう服を着れば良いか分からない。仕事では、基本的にスラックス、ワイ…

感想文21-14:フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔

本書の著者は、高橋 昌一郎さん。これまで高橋さんの著作では、知性の限界―不可測性・不確実性・不可知性(感想文10-46)、 理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性(感想文11-26)を読んだことがある。 本書の主人公はジョン・フォン・ノイマン(1903-195…

感想文11-26:理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性

※2011年7月16日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ どうやら順番が逆のようで知性の限界―不可測性・不確実性・不可知性(感想文10-46)の前書となるのが本書。とはいえ、順番を間違えても関係がないっぽい。どっちから読んでも楽しめる人には楽しめるはず。 今回も科…

感想文10-07:数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

※2010年1月31日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ バーゼル問題などを扱った数学ガール(感想文08-44)、そして、数学ガール/フェルマーの最終定理(感想文08-57)に続く、数学ガールシリーズ第三弾。 今回は、ゲーデル(1906~78)の不完全性定理。そうか、ゲーデ…

感想文08-57:数学ガール/フェルマーの最終定理

※2008年10月29日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 前書、「数学ガール(感想文08-44)」の第二弾。 著者ご本人から続きも出てます、というお知らせを頂戴したので、ありがたく続きを読ませてもらいました。 さて、前書との違いは、何か。そう、登場人物が一人増えた…

感想文08-44:数学ガール

※2008年8月26日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 文句なく面白かった。現時点で今年一番面白い。 自らも主人公になった気持ちで、ミルカさんやテトラちゃんと一緒に数学の世界を旅する。違う国を渡り歩き、最終的に目的地に到達する。 その旅は驚きと興奮の連続だ。…

感想文21-12:科学と非科学 その正体を探る

「科学」について考えることは私のライフワークだ。科学とはなんぞやという根本的な問いも大事だし、本書のように科学と非科学の境界について考えるのもとても楽しい。 東京が緊急事態宣言で図書館が閉館(この対処法には大変不満があるがそれはまた別の話)…

感想文21-12:反穀物の人類史

私は人類史について詳しくない。考古学とか人類学に関する本はあまり読んだ記憶がない。 しかし、人類は狩猟採取生活から農耕生活へとシフトしたけれど、平均して身長は低くなり、体重は減り、寿命が縮まったとする説をどこかの本(感想文はみつからなかった…

感想文21-08:ヤタガラス

ゴースト(感想文21-07)の続編。 前回の感想文は働くことについての吐露だったが、今回は生み出すことが感想文のテーマ。 私はそんなに多くではないものの、生み出してきた。決して偉そうには言えない。なぜなら私以外の方も何かを生み出してきているからだ…

感想文21-11:動物園・その歴史と冒険

私は動物が好きだ。初めての海外旅行はケニアで、たくさんの種類の野生動物を間近で見ることができた。新婚旅行はガラパゴス諸島で、ゾウガメやイグアナなどの固有種を見て、ダーウィンの進化論を着想するきっかけを追体験した(気分を味わえた)。 家族旅行…

感想文16-04:イルカ漁は残酷か

※2016年3月2日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 6年近く前に読んだ本世界クジラ戦争(感想文10-34)では、外交問題としての捕鯨について書かれていた。そこで、『日本のイルカ漁が残酷だとして映画化される』という話があったが、それが『ザ・コーヴ』(The Cove)…

感想文10-34:世界クジラ戦争

※2010年5月13日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 著者の小松さんは、日本のクジラ外交では非常に有名な方。ずいぶん前に「くじら紛争の真実」という本を読んで、クジラの問題の歪さを知った。 そして、気付けば、日本が非難されるのはクジラだけでなくなっているし…

感想文21-10:禍いの科学

本書の副題は、「正義が愚行に変わるとき」であり、原題はPandora's Lab: Seven Stories of Science Gone Wrongである。 本書では科学的正しさが大きな間違いを引越してしまった7つの事例を紹介している。これまで私の感想文との重複もあり、より詳しく知り…

感想文64:ロボトミスト 3400回ロボトミー手術を行った医師の栄光と失墜

※2009年10月14日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ タイトル通り、3400回ものロボトミーを行った医師であるウォルター・フリーマン(Walter Freeman 1895~1972年)の生涯を丁寧過ぎるほど描写している。 何といっても長い。400ページ以上にわたって、事細かに1人の…

感想文21-09:水道、再び公営化!

2018年12月に水道法が改正され、自治体が水道事業の運営権を民間企業に売却するコンセッション方式を導入しやすくするという報道がなされた。 法案成立時はニュースをチラ見した記憶はあるが、その後、後追い的な報道は少なく、ネットでも詳細な情報は限定的…

感想文21-07:ゴースト

下町ロケット(感想文11-59)、ガウディ計画(感想文17-04)の続編に当たる本書。 図書館をブラブラしていたら見つけて、さらにその続編に当たるヤタガラスと一緒に楽しく読ませてもらった。 下町ロケットのドラマを見ていたので、佃航平は阿部寛さんで、山…

感想文17-04:下町ロケット2 ガウディ計画

※2017年1月28日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 下町ロケット(感想文11-59)の続編。久しぶりに池井戸潤さんの小説を読んだ。 前作は原作を読み、ドラマを見た。中小企業である佃製作所で奮闘する経営者の姿と、小説では珍しい特許紛争が描かれていることが印象的…

感想文21-06:「人新世」の資本論

サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃(感想文20-46)に続く、人新世についての本。わりと話題の本らしく、興味深く読ませていただいた。あえて大事なポイントを最初に書いておこう。 本書の主張は「脱成長」である。 無限の経済成長を断念し、万人の…

感想文21-05:騎士団長殺し

ずいぶん久しぶりに村上春樹さんの小説を読んだ。 第1部が512ページ、第2部が544ページと結構な分量で、面白いようなよくわからないような、文字だけの現代アート(こういうのを文学と言うのだろう)と向き合ってみた。申し訳ないのだけれど、ちゃんとした感…

感想文21-04:清く貧しく美しく

石田衣良さんの小説。小説の感想文を書くのは久しぶりかもしれない。小説もちょくちょく読む(2020年は1冊しか読んでなかった)のだけれど、多くは出張のお供ということがほとんどで、コロナ禍で出張がなくなり小説を読む機会を喪失していた。 今回ももちろ…

感想文14-02:七つの会議

※2014年1月17日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 架空通貨以来の池井戸潤さんの小説。作品を読むと仕事について考えさせられる。 本書では、様々な立場の人間が交錯し、そして組織が隠してきた真実が徐々に明らかになっていく。本当の真相は、さいごのさいごまで見…

感想文21-03:未熟児を陳列した男 新生児医療の奇妙なはじまり

本書の主人公は、マーティン・アーサー・クーニー(1870-1950)。同じ年生まれは、本多光太郎、ジョーゼフ・ピューリツァー、西田幾多郎など。クーニーは第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦の時代を生きた。 本書の副題にあるとおり、新生児医療のは…